50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2013-02-17 通訳者とタラコ

たとえば、自分の子や親友が
「アニメ声優になりたいので養成機関に行く!」
と言い出したとします。

それって、大変なんじゃないの?
生徒百人のうち一人がやっとなれるようなものじゃないの?
そもそも、学校に行ってなんとかなるものなの?

おそらくこんな反応が出てくると思うんですね。

通訳者養成もさほど違わないのではないかと思います。だって、大手スクールだけでも3~4校あって、それぞれ複数のクラスがあります。その他にも有力養成機関がいくつも。

タラコのつぶつぶが全部タラになったら世界の海はタラだらけ。通訳養成機関の受講者がすべて通訳者になったら日本は通訳者だらけ。

講師側からもちらちらと本音が漏れるときがあります。
スクールに通っている生徒が、忙しくて時間が取れず週に1回クラスで2時間勉強して、あとは1日1時間しかできないとすると、1週間の勉強時間はたったの8時間です。1年52週で年間の勉強時間は416時間ですから、1万時間に達するには20年かかります。だからほとんどの生徒はプロになれないのです。
(通訳者ブログ記事)
…それでも効果的な学習を毎日欠かさない受講生が30人か40人に1人くらいはいるんです。そうした受講生が羽ばたいていくのです。
(通訳養成機関講師)
実情はこのようなものだろうと思います。並のことをしていると並にとどまる。飛び抜けて優れるのはたいへんだけれども、少しは頭が出ているようにしないと。

以前に資格試験の準備をしたときを思い出します。模擬試験の会場に机が縦に12脚並んでいました。この試験の合格率は約8%。自分の席に着いてこう思いました。
「そうか。この列のトップでようやく合格か」

学習はあくまで自分との闘いなのですが、その成果は一般的には順位で示されることが多いという現実をときどき思い出すようにしています。