イタリアの年金問題をBBCラジオが扱っていました。
以前の勤務先で社会保険・労働管理の担当をしていたので、そうした話はよくわかりますね。制度の問題点は各国だいたい共通なので、「なんなら代わりにお話ししましょうか?」と思ってしまうくらい話の展開が予測できます。
pay-as-you-go あ、「賦課方式」ね。聴衆によっては「仕送り方式」のほうがわかりやすいかな。means-testing はこの文脈では「所得制限」と訳してしまうほうが「業界人」にはピンとくるだろう。benefits は「給付」で訳語を統一かな。top-up benefit は「付加給付」がぴったりだろう。
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一般的な単語なのに専門分野では定訳がある場合はたいへんですね。知らなければそれでアウト!という感じがします。社会保険はまだ単純なほうで、これが技術や医療になったら単語集だけでもたいへんな分量になると思います。
「意味はなんとか通じるけど、普通はそう言わない」という訳語・表現を連発すると、通訳者に対する信頼が揺らいでしまいますね。以前に建築分野での国際会議の手配をしたときには同時通訳チーム3人のうち2人は必ず前年と同じ人を含めてもらっていました。「養生」「ガラリ」「アネモ」「外構」「犬走り」「QS」「未成工事受入金」といった専門用語・略語を定訳でどんどん出していくのには本当に感心したものです。前年に担当してもらっているので、この会社の「中国支社」は China Branch ではなくて Hiroshima Branch だよ、と控えに回った通訳者がすかさずパートナーにメモを入れています。