通訳を提供するという市場に参入する場合に、市場そのものを拡大する方法はあるのだろうかというお話です。
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ドトールコーヒーショップが店舗展開する前には誰もが
「日本には喫茶店はたくさんある」
と思っていました。
そして低価格・そこそこの品質・手軽・便利・どの店でも同じという新しい業態で喫茶店市場そのものを拡大してしまいました。
米国からスターバックスがやってきたときも懐疑的な見方はあったはずです。こんなに喫茶店があるのにどこに店を出すのか。
しかしスターバックスの躍進はご存知のとおり。市場はさらに拡大しました。
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郊外型うどん店の伸びも目覚ましいものでした。
いっぽうハンバーガー・牛丼・ラーメンのチェーン展開は飽和しているかのようです。厳しい価格競争にさらされていますし、新旧交代の代謝も遅いという印象があります。
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通訳の場合にはどうなのでしょうか。通訳の新たなサービス提供形態が広まって市場の変化が加速するのか、それとも従来からの業態が続いて変化は緩慢なものなのか。
私の場合は「自分だけの強さ」を特に考えることなく、従来から続く通訳サービスを提供する形で参入しました。ですから開業当時は仕事の量が少ない下積み時代となったわけです。その後は徐々に仕事が増え、会社員時代よりも年間キャッシュフローを大きくするところまでたどり着きました。
ラーメン業界・カレー業界には
「店を出すなら激戦区に出せ。それで負けるようならそれまでだ。激戦区で勝てば客は多いぞ」
という格言があります。世の中に新しいもの(市場)はそう簡単に生まれないという考え方ですね。放送通訳・会議通訳・通訳ガイドといった形態は上の例でいうと「激戦区」。それなりの品質を実現して「使いやすい」通訳者になれば仕事はある。
しかし、ひょっとすると私の気づかぬところで何か新しい形態が生まれつつあるのかもしれません。環境が変化するときには自ら変化する者だけが生き残る。気づくことはできるのでしょうか。
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近所なのですがあまり出かけない場所。富士がこんなふうに見えるとは知りませんでした。