通訳報酬情報の交換には注意が必要というお話です。
通訳者相互の情報交換は有益ですし重要です。しかし用心すべき分野もあります。
手短に言うと、
「提供価格を複数の通訳者が共謀してつり上げていると外部から見られないように」
ということです。独占禁止法第三条に定める不当な取引制限につながる価格カルテルとみなされる行為に入り込んではいけません。
「あのエージェントで報酬 XX,XXX円以下で登録したら負けですよ」
とう発言は限りなくクロです。エージェントが自由市場で通訳サービスを調達する際の自由な価格交渉を阻害すると理解されます。
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それでは個別の通訳者はどのようにして相場観を得たら良いのでしょうか。私は買い手側の取引を不当に制限することのないようにすれば心配ないと考えています。
- 年収から逆算してみる
首都圏・エージェント受注主体のフリーランス通訳者がフルタイム・年間稼働日数170~220日で年間売上が7百万円~1千2百万円としましょう(仮定を立てます)。そうすると1日あたりの金額の範囲も想像できます。 - アルクの「通訳者・翻訳者になる本」(年1回発売のムック)に年収調査記事がたいてい掲載されます。
- イカロス出版の「通訳翻訳ジャーナル」の2019年4月号の特集は「通訳者・翻訳者のリアル収入&料金」でした。
- 自分より経験・実績がある通訳者の紹介で業務に入れば、先方の提示報酬は紹介者のものにかなり近いはずです。
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お金の話はどんどんすべきです。世の中のたいていのモノ・サービスはお金との交換で手に入れることができます。育児・家事・介護においてもです。職業人として自分の望む方向にものごとを進めていったり、家庭人・地域人として生活を充実させるときに時間とお金の要素は切り離せません。
そして、お金の話は明るく公正明大に。談合ととられることのないようにしていきたいものです。
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出張帰りの1杯。