50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2019-07-01 職業通訳者として(おそらく)最も重要なこと

通訳の仕事に出るとき、最も重要なことについてのお話です。

指定された場所に指定された時間に存在することです(身体で、または回線接続で)。


これは実はさほど簡単ではないと思っています。

たとえば首都圏の電車事情。
・路線相互乗り入れが進み、事故・故障が広範囲に影響する
・各停・急行・区間急行・準急・特急・快速・通勤快速・快速特急といろいろある
・主要駅の出口は20くらいあり、乗り換え地下通路は迷路

訪問先が大きな施設の場合、集合場所を明確に決定して理解しておかないと目的地に到達できません。敷地内にバスが走っている規模の工場も多い。西門から南門まで徒歩20分ということもありえます。新館と別館、A棟とB棟など、危険がいっぱいです。

似た名称の建物もありますね。恥ずかしながら私は「丸ビル」と「新丸ビル」とは同じものだと思っていました。「新丸ビル」というくらいだから、「旧丸ビル」をとりこわして建てたのだろうと思い込んでいました。

幸いなことに新丸ビルと丸ビルとは隣でしたのであわてずにすみましたが、離れていたら現場に入る前に心拍数を上げてしまうところでした。


その日に使う資料や用品をきちんと持って時間までに正しい場所に到達して顧客と合流できれば(気分的には)仕事の半分が終わった気がします。それだけ集合には危険が多いと思います。

オンライン参加のときも顧客から受領した電話番号が古かったり会議IDが間違っていたり、自宅のインターネットルーターが雷で故障したりといろいろ危険は潜んでいます。

そういえば会場で通訳機材の接続を前日に確認し、その後に一部片付けたときに接続を間違えたこともありました。「音が出ない・聞こえない」という状況には本当にあわてます。


現場には魔物がいる。そう思っていたほうがいいですね。この目で見てこの耳で聞くまでは何も確実ではない。


特に変わったとこのない、ありふれたインド料理店の昼食に見えます。ところが。豆のカレーがものすごくおいしい。トゥールダール(樹豆 = キマメ のひきわり)を使ってたまねぎやトマトでしっかりとうまみを出しています。キマメの独特の味と香りもあって忘れがたい一皿になりました。注文したときに店の人が
「ダール…」
と口ごもったので、
「仕込んでないなら他のにしますよ」
と言ったら
「OK、ダールOK」
と言って調理師に何か言っていました(ベンガル語?)。

15分くらい待ったので、おそらくたまねぎを炒めるところから作ってくれたのだろうと思います。スパイスの香りが立っているできたての味でした。

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