心臓外科医天野篤さんのことばには強く心を惹かれるものがあります。
以前に
で年間の手術件数として四百から五百件が技能を維持するために必要だという話を紹介しました。
また、そのときの新聞記事にこんな談話もありました。
手術が患者さんに提供できる自分の真心のすべてですから。そいういう方向で、自分を追い込んできました。手術で100%患者さんに向き合う。必要な準備を怠らず、絶対に手抜きしないということです。
(朝日新聞 2012年10月27日)
ごく最近知りましたが、天野教授のお父様は天野教授が立ち会った手術の後に亡くなっているのですね。
【第108回】心臓外科医/順天堂大学医学部教授 天野篤「患者の命を背負い、今日もメスを持つ──『戦い』への挑戦が自分を鍛えた」
(株式会社日立ソリューションズ ビジネスコラム)
「絶対に生きたまま(家族のもとへ)お返しする」
通訳者にはわからない重圧だろうと思います。
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それでもこうしたお話から習うことはありそうです。通訳者として現場に出ればどうしても「自分の出来」が気になるもの。それも内向きな感情として。
「(私は)うまくできたのだろうか」
と思いがち。
しかし本当に大切なのは
「なんとしてでも誠実を尽くして目の前にいる方々の意思疎通を成立させよう」
という決意とそれを裏付ける技能のはずです。過去にうまくいかなかったことがあればそれを徹底して分析して対策を講じ、その場に見合った最善と信じる方策を取るのが職業人の道。天野教授が言うように、逃げられない場面はやってきます。
そんな数々の方法から、最善と思われる一つの方法を選び、何とかしてその関所を越える。
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気負わずに、しかし自分が何をしているかを忘れずに進んでいこうと思います。
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コサギが食事の準備中です。