50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2019-01-07 通訳者の重税感

所得が給与だけの人のかなりの部分は所得税の計算をすることがないと思います(事業主が年末調整をすると年税額計算の主な部分は済んでいます)。

個人事業主は確定申告で所得税の計算をすることになります。収入から必要経費を引いて課税所得金額を計算していきます。

それでは給与所得のみの人に必要経費が認められていないかというとそうでもありません。給与支払額にそのまま所得税率を乗じたら税額がとても高くなってしまい、自営業者と均衡がとれません。かといって税率表を別に作るのも混乱のもと。

給与所得者には給与・賞与の支払い額から数式で自動的に計算する
給与所得控除
が存在します。一種のみなし経費といえそうです。


首都圏で通訳を専業にすると必要経費は限られてきます。

  • 家賃支払がないと事務所経費はごくわずか
  • 自動車経費の算入がない(自動車を使う人もいますが)
  • 消耗品は比較的安価(ノート・ペン)

直感的に通訳専業の必要経費は給与所得控除より小さいのではないのかと思いました。

少し計算してみましょう。

【自営業】
月間売り上げを 700,000円として年間 8,400,000円。経費が20%の 1,680,000円としましょう。所得金額は
8,400,000 - 1,680,000 = 6,720,000円

【給与所得】

年間の給与・賞与の合計額を同じ 8,400,000円とすると、給与所得控除の額は
8,400,000 * 10% + 1,200,000 = 2,040,000円。したがって所得金額は
8,400,000 - 2,040,000 = 6,360,000円

※ 給与所得控除の計算式は国税庁のサイトにて:No. 1410 給与所得控除

自営業者の必要経費が年間 2,040,000円(毎月 170,000円)までは給与所得者のほうが所得税の計算上有利なんですね。


もうひとつ忘れてはいけないのは、自営業者の必要経費は実際に支出がなされていることです。上記の例でいうと、経費の 1,680,000円は使ってしまったお金。いっぽう給与所得控除は計算式で求めているので、実際の支出とは関係ありません。企業勤務の人が必要経費に毎月 170,000円も使うことはまずないでしょう。経費支出と納税後に手元に残る現金は給与所得者のほうがかなり多いことになります。

さらに、住民税(地方税)と国民健康保険料も所得税の計算式に倣って算出します。これも相当な痛手と感じますね。


油が浮いた北インド風の料理「チキンハンディ」。油で揚げたたまねぎとヨーグルトを使うこってり系の料理です。あっさりと仕上げたアルゴビを添えて。

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