50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2018-05-13 インド英語攻略法

IT関連の通訳だと話者にインド人が入る割合がかなり高いと思います。インド人の英語には日本人通訳者にとって難しくなる要素が多いですね…。

  • 物心ついたときから使っている準ネイティブスピーカーが多い。そのため自信満々でどんどん話す。
  • インドの諸言語が相互にかなり異なるため、「インド英語」は実は「ヒンディ英語」「ベンガル英語」「カンナダ英語」「マラヤーラム英語」「タミル英語」(以下略)…。つまりフランス人・ドイツ人・イタリア人・スペイン人その他がいるようなもの。アクセントは相当異なる。
  • たくさん話すことは良いことだ、というのが常識らしい。

ということで、慣れるしかない…。


しかし、哀れな日本人通訳者にもできることがあります。それは
「ここにいる日本人は通訳者を通してしか皆さんの話がわからないのです」
ということを意識してもらうこと。そうすれば(わずかでも)話はゆっくりになり短くなる可能性があります。

そのためには通訳者のお願い(ゆっくりね・短くね・はっきりとね・すっきりとね)を聞いてもらう必要があります。

Q:そのためにはどうしたら良いか
A:お友達になる

ということで、私は食べ物の話で相手に近づいていきます。IT関係だと南インドの方が多いので、
「出張たいへんですね」
「日本のインド料理店に連れていかれましたか?」
「どろっとしたカレーとナンばかり食べさせられて参っちゃいますよね!」
(インド人さん激しく同意)
「そろそろ朝食にイドゥリとか、昼にサンバルとか食べたいでしょう?」
(再び激しく同意。そして、「この日本人通訳者、なぜそんなことを知っている?」と不思議そう)
「このあたりにも南インドの料理を出す店がありますよ」
「大久保に行くとソナマスリ米も買えますよ」

このあたりでもうすっかり「仲間」です。以前に仕事の後に一緒に食事に行ったこともあります。運が良いと
「ああ、私の音声は通訳者を経て伝わるんだな」
と意識してくれます(意識しても早口は変わらないことも多いのですが)。

南アジア料理部の経験がこんな形で役に立つとは意外でした。


灰色のカレーはパニール(インドのカッテージチーズ)とコーンです。代々木の「アヒリヤ」。ナンもおいしく焼けています。わかりづらい入り口ながら昼は満席。これは典型的な北インドの料理。

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