昨年末から同時通訳の割合が 50% を超えていたのですが、最近になって逐次通訳の仕事が重なっています。電話会議や訪問に伴う通訳、公聴会など、本質的に逐次が標準という業務です。
経験した方ならわかると思いますが、改まった席での逐次通訳はなかなかに緊張しやすい場面です。二次使用(顧客が録音・録画して通訳音声を後日使用する)や議事録を作成するということも少なくありません。
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機械的な訳(字面訳)がそのままわかりやすい訳になることもありますし、少し説明を加えたり整理したほうが訳文が自然になるときもあります。おおむね原文の語順を大きく変えずともわかりやすい訳になることは多いと思います。
現実的な問題として両言語を理解する人に
「たしかにそう訳すのが適当だ」
「なるほど」
と言っていただくように訳すことも必要です。通訳者として市場で生き残っていくための(クレームを避けるための)、いわば「守りの訳」。
しかし、必ずしも原文に(単語レベルで)ぴったり沿っていなくても話者の言いたいことを確実に伝える訳を出せると通訳者が確信を持つときもありえます。便宜上「攻めの訳」と呼びましょうか。
「なぜそう訳したのですか」
と問われたときに説明ができるのなら「攻めの訳」も使うべきでしょう。
この「守り」と「攻め」とを適切に切り替えることが私の課題だと思っています。「攻め」が決まるとつい原文逸脱型の訳の誘惑が強くなります。字面からは逸脱してもいいのですが、意味が逸脱するとまずい。
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町内会で出したこいのぼりも片付き、緑がいよいよ濃くなります。
たまにはカキも食べます。