ブログ「定年からの通訳デビュー」でモコちゃんパパさんがこう書いています。
いまだに「スピーカーの言っていることが全く聞き取れなかったらどうしよう」と思うことがあります。
この気持ち、本当によくわかります。初めての顧客・初めての場所だと
「なぜ自分が通訳できるといえるのか」
がよくわからない。
「いままでなんとか通訳してきたではないか」
というだけでは安心できないのです。
「今日こそ通訳者として息の根が止まる日になるんじゃないか」
と以前にもブログに書いたのを思い出しました。
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私は大手民間通訳養成機関「インタースクール」を修了した縁で同校の母体インターグループから通訳業務を多く請け負ってきています。同校は
「インターメソッド」
という養成手法を提唱しています。学校と通訳現場とを結び付けて通訳者を世に出す機会を作り、実力を伸ばしていこうというもの。インターグループから業務の打診があるときには
「このエージェントは私の授業での出来を知っているし、いままでの私の経験もわかっていて照会してきている」
という安心感があります。難易度100の仕事の後に打診してくるのは115のもの。いきなり150のものは回してこない。後になってわかるのですが、これは実にありがたいことです。おそらくサイマルアカデミー等他のエージェント併設学校でも同様だと思います。
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他のエージェントですと私の業務経歴書と現場での評価がすべて。順を追って育てていこうという発想はありません。
「こんな仕事があります。請け負ってくれますか」
という "Take it or leave it" という関係に近くなります。通訳者は
「その仕事、私にできるんでしょうか」
と受け身でいることはもはや許されません。
仕事の難易度や自分の経歴への影響を自ら推量して引き受けるようになればフリーランスの入り口にたどり着いたのかなあ、という気がします。
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通訳音声の受信機。これだけ多くの人が通訳者の声を聞きます。
(写真はイメージです)