50歳で始めた通訳訓練

会社員からフリーランス通訳者に転身。同時通訳ブースに入り、通訳学校の講師に。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2017-01-22 Manageable chunk

通訳の学習を続けている人はまじめに努力している場合がほとんど。さらに、言語を扱う能力を十分に持ち合わせていることも多いと思います。

しかし、ここに落とし穴もあります。

「知」「理」の実力があるために、自分が出す訳文を少し難しいものにしてしまう傾向があるのではないかと思います。自分の考えであれば自由に組み立て、必要に応じてまとめたり言い換えたりできます。比較的「大きく構えて」話し始めてもなんとか「着地」させることができる。

通訳の場合には若干勝手が違います。自分以外の人の考えを、また別の他の人に伝える必要があります。こうしたときに通訳者が「自分の手のひらで転がすことができる」文章の大きさ・複雑さには意外と制限が大きいのではないかと思います。ひとつの文章として御す長さ・複雑さは押さえ気味にしておかないと危険かもしれません。

高い知能・言語処理能力があるために良いノートが取れたとします。それを縦横に駆使して立派な訳文を出そうとするときに途中で止まってしまう危険があります。安全なサイズ(manageable chunk)で話者の考えをレンガを積むように確実に聞き手に届ける方策も非常に重要だろうと思います。そして、これは聞き手にとっても楽で
「よくわかった。良い通訳だ」
と感じてもらうことにつながります。人間は身勝手なもので、自分にとって心地良いものが高品質だと判断しがちなのです。

 

竹には勢いがありますね。

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