50歳で始めた通訳訓練

会社員からフリーランス通訳者に転身。同時通訳ブースに入り、通訳学校の講師に。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2016-10-31 評価は相対的なことが多い

初めてエージェントの仲介で出て行った仕事は低リスクのものでした。

買い手・売り手が初めて顔を合わせる商談会です。

お互いに商売して得があるかを探る場面なので、込み入った話になる確率はかなり低い。万が一通訳技能その他で通訳者に問題があっても実損は少ないでしょう(通訳者にとっては評価が下がるという大きな損失になりえます)。

こうした場面は自分にとって良い機会だと思っていました。企業勤務が長く、顧客を訪問したことも税務調査に立ち会ったこともありますし、社員が不幸にして亡くなり、遺族に会う役割も何度か経験しています。場の不安を解消し、落ち着いて話をする雰囲気を作るのは他の通訳者よりも得意だったかもしれません。

社内研修の一環で1週間ほど一流ホテルのフロアに立ち、客の案内をしたこともあります。いかに周囲に溶け込み、素早くさりげなく客に助けを出すかを習いました。


通訳らしい通訳をしなくても顧客が高い評価をしていた旨エージェントから伝えられたことが何度かありました。通訳そのものの品質ではなく、立ち居振る舞いの印象なのでしょう。経験の少ない通訳者は緊張し、経験のある通訳者は業務の負担が少ないだけ気が緩む。落ち着いて暖かい態度を取るだけで相対的に浮かび上がることができますし、通訳サービス提供を発注する側はそうしたところを敏感に感じ取ります(通訳の技能はよくわからなくても)。

現場近くの駅を降りたときからすでに仕事は始まっています。エレベーターの乗り方や荷物の置き方から顧客は
「この人から安心して買い物ができるだろうか」
ということを無意識のうちに感じ取ります。私たちが飲食店や美容室に入って感じるのと同じですね。

顧客の不安を取り去れば通訳者の印象は良くなり、エージェントに対する信頼も増えます。より難度の高い仕事をより多く仲介してもらうにはこうした「良いサイクル」を回していくしかないと私は思っています。



イラン料理も出す厚木市の「トポリ」。インド料理がおいしくなっていました。

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