50歳で始めた通訳訓練

会社員からフリーランス通訳者に転身。同時通訳ブースに入り、通訳学校の講師に。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2016-09-19 定期点検

インタースクールの先輩でときどき仕事でご一緒する方から最新技術のプレゼンテーション素材を紹介してもらいました。人工知能やロボット工学についての一般聴衆向けの発表です。内容・発表・録音すべてが優れています。

原音声と同時通訳とで別動画になっているのも便利です。

予備知識なしで15分間同時通訳して、公開されている同時通訳と細かく比較してみました。


訳出の品位について:

公開音声の通訳者の声は非常に良いですね。やや硬質の響きでとても明瞭で軽さもあります。ぱりっとしていました。発表者が元気よく話すのでよく合っています。

私の音声も悪くはないのですが、どちらが優れているかというと間違いなく公開音声のほうです。

スピーチ練習(トーストマスター)をしたり中国語の学習で発音にじっくり向かい合ったりしたので声は自分の強みの一つだと思ってきましたが、ところどころ不明瞭な点がありました。特に文の冒頭で自信をもって言い切っていないような印象を与える箇所が気になります。新しい文の訳出を始めようとするときの「ためらい」が音声に出てしまっています。
「ここで訳出を開始しようか」
「もう少しだけ展開を待とうか」
「どの語を最初に出そうか」
という逡巡が声や息遣いに出てしまっていました。発言者は堂々と話しているので不自然に聞こえます。通訳音声を聞いている人の信頼を得るためにも対策を講じる必要がありますね。通訳者は内心では追い込まれ気味でも勢いよくかつ落ち着いて訳を開始しなければなりません。


不要な音声について:

公開音声には「えー」が多くて少々気になりました。私の音声には15分間で意図せずに出た不要な音声は皆無。これはインタースクールの講師の教えのおかげです。ただ、「えー」がない分無音時間が発生しがちなので、何かを詰めたり速度を落としたりするという方策も必要ですね。


訳出の構成について:

訳文は公開音声と私とでかなり似ていました。両者共に話者に遅れないよう順送りで訳していくという基本に従っています。文の展開が読みにくい場合には文を分けています。やはり「ひっぱる」のは相当のリスクを伴うので、避けようとしていますね。発表者が1文を短く明快に話すことも助けになりました。


練習時間:

今回は初めて聞く素材で15分続けてみました。あきらめず、無理なところは切り捨てて自然につなぎます。こうした本番に近い環境で練習して録音するのは絶対に必要ですね。

 


わかりやすい時刻表でお出かけです。

f:id:shira-j:20160917223533j:plain