通訳の訓練を受けたかそうでないかを見分ける第一の違いがあります。
「話者に成り代わって話しているか」
です。
つまり、
- 一人称で話す。話の把握が難しく、苦しくなっても常に。
- 話の内容に驚いたり感心したりしない。平然と訳す。
- 頭や手を動かさない。
- 落ち着いた声で自然な、しかしわずかに抑制の効いた表現で。
- できるだけ時間を節約するよう引き締まった言い回しで。
「わかってない」通訳者だと、巨大な金額や思いもかけない展開を聞くと驚いてみせる場合があります。話者に対して無意識に
「ワタシわかってますよ!」
「ええ、すごいですね!」
と伝えたいという思いが表面に出てしまうのです。通訳者なら話はわかってあたりまえ。眉毛も動かさずにさらりと、しかし血の通った表現で素早く訳出すべきです。落語家が笑ってはいけない。
話者が
「今日はすばらしい通訳者を手配していただいて助かりました」
と言ったら、照れ笑いなど一切なしでさらりと訳す。
「通訳さん、どうしたらそんなふうに英語話せるようになるんですか?」
と聞かれたら
「幸い学習時間がとれましたので」
などと手短に回答して、日本語を解さない参加者には
Ms A asked the interpreter how he learned the English language and the interpreter answered the question.
とでも言っておくのがよさそうです。
通訳がうまく進んでいるときには話者は通訳者の顔をあまり見なくなります。これが一つの指標になるような気がします。
ま、硬い話をした後はおいしいものでも。
ココナツチキン、パラク(ほうれんそう)チキン、カジキマグロです。ターメリックで黄色くしたご飯にはサフランも。