通訳者は両言語に通じている…はず。
たとえば、語彙。
会議の後の懇談会の通訳も引き受けたとしましょう。集まった人たちがくつろいだ雰囲気で親交を深めています。
「いやあ、母親が高齢で、骨粗鬆症で手首を骨折しましてね…」
「それで、息子の結婚相手というのが粒子加速器の研究をしていて…」
「庭にゴーヤを植えてますけど、意外と尿素肥料を必要としますね」
「点描っていうのは、切り絵に似た魅力がありますねぇ」
日本人だと「骨粗鬆症」・「粒子加速器」・「ゴーヤ」・「尿素肥料」・「点描」・「切り絵」がわからないということはないと思います(日常会話での意味で)。ということは「両言語に通じる」人はこれをもう一つの言語でさらりと言う必要があるのでしょう。
くつろいだ雰囲気だからこそするするっと訳したい。「…の一種」や「…みたいなもの」と訳すと水を差しますし、なにより
「なんだ、主催者はプロの通訳者を手配してくれなかったのか」
と思われてしまいます。やや大人の単語とはいえ、専門用語ではありませんから。
以上は名詞の話ですが、動詞も形容詞も副詞も、時制も冠詞もあります。
※ 会話例は本ブログ著者の創作です。