50歳で始めた通訳訓練

会社員からフリーランス通訳者に転身。同時通訳ブースに入り、通訳学校の講師に。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2015-08-23 連想ゲーム--おじさんのひとりごと

The Economist にこんな文がありました。米国 General Electric 社に関する記事です。

The industrial business on which Mr Immelt wants to concentrate has not fired on all cylinders for years. ( Apr 18th 2015 ) 

自動車や航空機のレシプロエンジン( reciprocating engine )になじみがないとピンとこないかもしれません。

読んだ瞬間にホンダが 1960年代に F-1 レースに参加したときのことを思い出しました。初めての競技車 RA271 には二輪車技術を応用した斬新な V型12気筒エンジンを搭載。

当時は高性能エンジンに使う燃料噴射装置( fuel injection )や点火装置( ignition )の性能が低く、12の気筒すべてで正常に燃焼( combustion )が起きているかを知るために濡れた布をそれぞれの排気管に押し付けたそうです。
「ジュッ」
と音がすればそのシリンダーでは爆発している…。

さらに連想は続きます。F-1 で 12 気筒といえば名門フェラーリニキ・ラウダが乗って年間優勝した T312。変速機( gearbox )を横置き( transverse )したので "T" 。このおかげで先日の通訳現場で transverse と longitudinal とが出たときにすぐに反応できました。

T312 のエンジンは「180度V型」。水平対向( horizontally opposed )ではありません。対向する2つのシリンダーはクランクピンを共有しています。いっぽうドイツのポルシェが看板モデル 911 に搭載しているのは水平対向6気筒。1次振動・2次振動共に完全バランスです。おっと、2次振動といえば三菱自動車のサイレントシャフト(改良ランチェスターバランサー)はポルシェにクロスライセンス( cross licensing )で特許供与されました。同じ原理のバランサーはホンダの2輪車に使われました(XL250S・CB400T)。

水平対向といえば日本のスバル。「ボクサーサウンド」と呼ばれた独特の排気音は、実は「エンジニアにとっての妥協の汚点」。水平対向4気筒の爆発間隔( firing interval )は直列4気筒と同じ毎180度。音は同じになるはず。「ボロボロ」という音は排気管( exhaust manifold )を等長で取り回せなかったからでした。新型車では等長になって「まともな」音になってます。

もひとつスバルで思い出すのは FF 車の等速ジョイント( constant velocity joint )。スバル 1000 にダブルオフセットジョイントを導入しました。


The Economist の記事に戻りますけど、Jack Welch の著作 Straight from the Gut に後継者として3人の候補の中から Immelt 氏を選ぶときの気持ちが描かれていました。GEといえばジェットエンジンですが、タービンブレードを単結晶で作る話やディスクに取り付けるツリー構造、インピンジ冷却( impingement cooling )が BBC のラジオ番組に登場しました。この番組で同時通訳の練習をしたらかなり楽に感じました。頭の中に「絵」が描けたからでしょう。

たとえば特許関係の通訳をするとなると、英語力・日本語力だけではちょっと難しいと思います(タービンロータの特許明細書)。


以上脈絡もなくいろいろ書き散らしましたが、通訳者がときどき話題にする
「雑学は助けになる」
というのはこんな感じかな、ということで私の例をご紹介した次第です。以前は社会保険労務士の登録もしていたので、労働法や年金は話し出したら長いですよ…。