50歳で始めた通訳訓練

会社員からフリーランス通訳者に転身。同時通訳ブースに入り、通訳学校の講師に。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2015-05-04 訳語を選んでいる時間はない

ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントに対するサイバーハッキング攻撃が米国 CBS 60 minutes で扱われていました。

専門家へのインタビューも多く含まれているので同時通訳の教材にしてみます。

以前の職場でシステム管理を兼務していたことがあるので内容の把握には不安がありませんが、数か所追いきれないところがありました。どこで引っかかるかを確かめてみると、
「訳語を考えて一瞬ためらったところ」
が主でした。特に文脈に合わせて日本語の訳語を変える必要があるのは難物です。


いつものことですが、
「おっと、これはどう言ったら一番いいかな」
という状態になるとその次を聞き取れなくなります。

通訳は近似の芸術 (在東京の通訳者)

なので、顧客が理解できる限りで次善の訳を出して切り抜ける必要がありますね。それも素早く。


これが検定試験だったら、止まったり重要な固有名詞を落としたりすると
「はい、そこまで!」
です。
「難しいから、できなくても、まあ、しょうがないか」
という心理的な逃げ・甘えを排して、
「苦しそうではあるが、なんとかとりつくろって持ちこたえる」
ことができるよう練習を心がけているのですが、

難しいものは難しいんだよーーーー

と叫んでみたくなるときもあります。


通訳学校の講師は誠実な方で、ときどき
「これは…。難しいですね。私でもいきなりやれと言われたらちょっとできないかもしれません」
と言っていました。やっぱり先生でもそうなのかとちょっぴり安心しそうになるのですが、「いきなりやれと言われたら」という条件付きなんですね。裏を返すと「準備が許されるのなら、なんとかしなければならない」ということなのでしょう。

自分の実力を上回る教材を使うと萎縮してしまって練習の妨げになるときもありますから、ある程度の「ゆるみ」は許容する必要があると思います。それでも、
「商品になる訳をなんとかして出す」
という目的は導きの星(lodestar)として掲げておこうと思います。