50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2015-01-04 通訳者になる人・ならない人

大手通訳学校の入門段階に入った人が通訳者(通訳を家計の主たる収入にする人)になる割合は大きくないという記事を以前に書きました。しっかりとした数字の根拠はないのですが、1/20 から 1/50 くらいかな、と感じています。これについては以前にもこのブログで書きました。
2013-02-17 通訳者とタラコ


通訳技能の不足も大きな障害となりますが、もう一つの大きな壁があります。実際の業務経験を積むのが難しいのです。企業に勤務したり家事やその他の仕事をしてしていると
「X月Y日にAという通訳業務がありますが、対応していただけますか」
と通訳派遣会社(エージェント)から打診を受けたときに動けないのですね。

これが最大の関門ではないかと思います。通訳訓練を受けて通訳の現場に出始めるくらいの人と同程度の通訳技能を持つ人は少なくないかもしれません。「動けるかどうか」の違いが大きい。

私の場合ですと、自営のため収入の低下に一定期間耐えられれば(家族の応援・理解があれば)少なくとも参加の機会はあったわけです。不労所得が潤沢だったり配偶者等の収入が十分で生活費の心配がない人はこの点で圧倒的に有利です。


他人をうらやんだり自分の制約を嘆いても事態は変わりません。与えられた条件の中で世に出る算段をすることが許されているという点では世の中公平なのですから(通訳になることを禁止する法律はない)…。

安定した現在の仕事を続けながら時期をみて通訳者に転身するというのは卵を割らずに食べようとするようなことかもしれません。どこかでリスクを計算してそのリスクを取る必要があります。

リスクを取って通訳者になっても、時には
「あの仕事のほうが良かったかもしれない」
と首をひねることもあるかもしれません。私も昨年はたまたま仕事で良い縁に恵まれて「財政破綻」を免れましたが、今年はどうなるかわかりません。

仕事は人生の中で大きな比重を占めます。通訳を職業としてとらえる以上、通訳者になるというのは生き方の選択でもありますね。学校の進級で一喜一憂するのももっともですが(私もしています)、その先を考えるのも大切かと思います。

表題を
「通訳者になれる人・なれない人」
としなかったのは、自己の選択が多くの局面で重要になると考えたから。