50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2014-12-13 忠実な訳とは

各種打合せでは日本語の発言がかなり断片的になったり行きつ戻りつになったりします。原文にぴたりと寄せた訳ではとても聞きづらく、場合によってはどうにも英語になりづらい場合もあります。

以前の職場での会議ではよくそんなことがありました。もしあの場に通訳者が入っていたら……。

そうしたときには無理やりにでも同時通訳風の訳を出してしまえば通訳者の「お勤め」は完了なのでしょうか。それでは意思疎通を助ける仕事として少々さびしい。訳を聞いた人が首をひねって
「この通訳者、わかってないな」
と思うのも悲しいですね。

かといって、
「(語句にとらわれず)メッセージを伝えるようにしましょう」
なんて無責任に格好良いこと言われても、具体的にどうするかはよくわかりません。
「話者はこう言いたい(はず)」
なんて、他人である通訳者が勝手に決めて良いのでしょうか。大きく間違う可能性はかなりあると思います。「他人である通訳者が勝手に決め」なくても良いほど内容がまとまっている発言なら文法に従って訳せばたいてい大丈夫なのですが。


社内通訳者として話者の特性がわかっていたり、背景知識が十分にあれば通訳者が訳を「仕切って」しまっても安全かもしれません。請負として派遣され、初めて会う人の発言が謎だった場合は本当に困るでしょうね。