最近の新聞記事で著名なバイオリン奏者五嶋みどりさんが定期的に日本の施設を回って演奏しているという話を読みました。どのようなお考えなのかは簡単にはわかりませんが、世界が自分の演奏を認めてくれることに対する還元ととらえているのではないかと察します。
第一線で活躍している通訳者はボランティア通訳をしているのでしょうか。Noblesse oblige として。
学校教育や医療では公費による通訳サービスがありません。各自治体のNPO(▲▲市国際交流協会 等)がボランティアで通訳する人を登録して仲介しています。
通訳学校に通っている方の中には
「私はもうボランティア通訳は卒業です」
と、ボランティア活動を通訳キャリアの準備段階ととらえている方や、プロの卵としていつまでもボランティアにかかわっていると格好がつかないという考えの人もいるようです。
私の経験ですと、小中高の三者面談や家庭訪問の通訳など、なかなか神経を使います。無報酬なのですが(交通費名目で 2,000円程度支払われることが多い)、私などよりずっと優れた通訳者ならかなり良い結果につながるはずだと思ったことがあります。ちょっと大げさですが、児童や生徒の一生を預かる重みを感じるときもあります(外国人父兄の教師や教育制度に対する信頼を左右します)。外国(日本)で暮らす家庭にはいろいろと複雑な事情があることが多いのです。通訳していてちょっと涙ぐんで声が詰まりそうになることもあります。
仕事等の都合でお断りすることが多いのですが、それでも子供や親の安心した顔を見ると
「来てよかった」
と強く感じます。
ボランティア通訳は、駆けだし通訳者の腕試しでは断じてあり得ません。貧しい公的支援を埋める重要な役割だと思います。