50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2014-08-17 言葉を扱う者として

通訳者として意思疎通の手伝いをしたいのですが、母語が1つだと制限が大きいですね。

外国語(acquired language)ではどうしても理解・表現で母語に劣ります。映画やドラマ、ニュースなどを見聞きしてもそれは感じますが、通訳、特に交渉の通訳では「場」が通訳者に直接伝わるだけに、
「こんな場合にこう言いたいときは、英語ではこう言うのか」
と、英語母語話者の「分厚さ」を思い知らされて無力感にとらわれそうになります。

言語を双方向に伝えるのが仕事ですが、

  • 日→英:内容補足 3車線(64bit)、表現 1車線(8bit)
  • 英→日:内容補足 1車線(8bit)、表現 3車線(64bit)

という気がします。

そうはいっても、完全な二語話者(bilingual)は少ないですし、その中から通訳者を志す人の割合を考えるとどちらか一方の言語を母語とする人が通訳者として機能する状況はしばらく続くと思います(ですから私も学校に行ったり現場に出ています)。


言語を扱う専門家として、
「両言語共に、(言語専門ではない)話者には劣るわけにはいかない」
という理想は心の片隅に置いておこうと思っています。現実不可能であっても、あるべき姿は意識していたいのです。
「英語だから、まあ、そこまでは無理」
「このくらいで良しとしましょう」
と簡単に白旗を揚げたくないのです。