通訳学校で日→英(JE)の教材を扱っています。授業2回分くらいでしょうか。
資料に沿って構成のしっかりした発言です。音声も明瞭で模範的です。
ここまで読んでお気づきの方もいると思いますが、こういうのはなかなか大変です。情報密度が濃いんですよね…。逐次でも情報を1つとりこぼすとなかなか回復できない。
同時通訳だとさらに難しくなります。ががーっと訳出せざるを得ないのですが、これでは訳を聞くほうも大変だろうと思います。通訳者が原発言に追い立てられる雰囲気が伝わってくるんですよね。
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同時通訳の練習も、
「いま・ここで何を練習しているのか」
という意識を持つことが大切ではないかと感じるようになりました。
現在授業で扱っている「高密度型」の場合、まず情報を取りこぼさないように練習してみました。内容をだいたい憶えてしまって、それを時間内に押し込んでいくような…。
物理的に(時間内に)どの程度再現できるかがわかってきた時点で、こんどは初めて聞いたつもりで訳してみます。つまり、「溜める」余裕がないという前提で、聞こえた単語を片っ端から「払い出して」いく訳です(なんとか日本語になっている程度の品位で)。
残念ながら訳せない部分も出てきますね。重要度が低い部分や重複を切り捨てることができればすばらしいのですが、選択は高負荷な精神作業ですから、無理な相談です。
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「どの程度聞いて(待って)訳出していけばよいか」
「どのような部分を切り捨てていけばよいか」
この問いに対する一般的な答えはなさそうです。
・原発言がゆっくり
・通訳者が優秀
・通訳者が内容について十分に理解
こんな条件なら、逐次訳よりも高品質な訳が可能かもしれません。
上記の好条件の反対なら、必死にそれらしいことを口から出して、それでもあちこちこぼれ落ちるでしょうね。どれだけ待つか・何を選ぶかを考える余裕は皆無でしょう。