50歳で始めた通訳訓練

会社員からフリーランス通訳者に転身。同時通訳ブースに入り、通訳学校の講師に。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2014-06-17 授業(同時通訳)

現在参加している授業では逐次・同時の通訳をバランス良く取り組ませるようになっていると感じます。

授業で扱う教材はなかなか難しいので、自信を失わないためにも下準備的な練習が(私には)欠かせません。

最近気に入っている練習方法・材料があります。毎朝歩きながら BBC World Service  Business Daily の特集番組「Elemental Business」をぼそぼそと同時通訳するんです。化学元素が世界経済にどのようにかかわっているかを解説する番組で、今までに水素・ヘリウム・金・炭素・窒素・バナジウムなどが登場しました。化学の教授との対話や工業施設の訪問があるので、台本を一気に読まれてしまう「あの難しさ」がありません。

内容も目新しいことが多く興味深いながらも非常にわかりやすいので、初めて聞いてもほとんど止まらずに訳していけます。決算発表や温暖化防止会議よりずっと簡単です。

"Small amounts of vanadium added into steel are able to really change its mechanical properties in a big way"
「少量のバナジウムを鋼鉄に加えると、鉄鋼の物理特性が大きく変化します」
なんて、先読みが簡単でさらりと訳せます。

・内容に親しみがなく、
・抽象的で、
・語りの速度が速い
という同時通訳の三重苦がすべて解決されているすばらしい教材!かもしれません。聞きながら訳出していくという運動技能的側面の練習に好適だと思っています。

もう一つ同時通訳の基礎練習向けなのが同じく BBC World Service の Peter Day's World of Business です。私にとってはこちらのほうが化学元素より難しいですが、Peter Day の語りははっきり・ゆっくりで、内容がよく整理されていてとても理解しやすいと思います。対談方式の番組ですが、音声だけで情景を描写するのは名人芸ですし、相手の話を引き出す手腕はかなりのものです。

上記の例はテレビではなくラジオ向けのアナウンスなのでわかりやすいのかもしれません(音声だけですべてを伝えるよう意図している)。仕事で通訳するような音声はこんなに聞きやすくないですよね…。それは授業の教材で体験することにします。