50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2014-03-27 ときどきつらい

質問と答えとがかみあわない。
相手の知識量などおかまいなしの一方的な説明。

こういうやりとりもなるべくそのとおりに通訳していきます。わからなければ聞いた人が
「よくわかりませんね。どういうことですか」
と質問をしますから、それを訳す。

通訳者は内心
「通訳が下手でわかりにくいんじゃないんです。Don't shoot the messenger.」
と思っているわけです。

でも、まてよ。通訳者が今ここに存在する目的は何だ。言語変換器として座っているのか。意思疎通を成り立たせるためではないのか。

通訳者は異なる言語を解すると共に、その言語を使う2つの文化についても少しはなじみがあるのではないか。

それなら、相手の文化で受け入れられにくい明らかな逸脱や飛躍があったら
「それでは相手方に伝わりにくくなりますよ」
「まずこう言ってさしあげると良いのでは」
と提案をするのは悪いことなのか。

ほら、米国出身の人が日本の区役所で立て板に水の説明を受けて困惑している。制度の概略だけでも前もって伝えれば後の話が簡単になるのでは…。

過去に一度だけ挙手をして
「申し訳ないが、通訳者としての職務を逸脱して少し解説したい。お許しいただけるか」
と申し出たことがあります。制度を図解して疑問が氷解し、双方から感謝されたことがありました。まあ、行政協力という場面でしたから必要悪として
「終わりよければすべてよし」
だったのかもしれません。通常の業務ではこんなことはまずできませんね。