50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2014-03-14 留学しておけばよかった

通訳訓練を含む英語の学習を続けていますが、入力する内容がどうしても偏りがちです。読んで・聞いておもしろいものということで、一般雑誌(The Economist)や科学関係の本(Oliver Sacks や Jared Diamond 等)、ビジネス関係の本(C. M. Christensen 等)を選んでしまう。

こうした話題で話をするときに中心となる部分は問題ないのですが、そうした考えを乗せる器とも言うべき一般的な言い回しが時々不自然になるときがあります。

生活に根ざした英語になじみが少ないからだろうと思います。

数日間に及んだ通訳業務でも商談では問題ありませんでしたが、英語の母語話者と出かけた居酒屋ではときどき話題に追いつけないときや慣例的な表現が出てこないときがありました。


留学や企業駐在で英語を通用語とする国・地域でしばらく生活しておきたかったですね。銀行の口座開設から住居の手配、役所関係の手続き、近所づきあい、医療機関の利用などで使う表現には英語特有の文法で裏打ちされた自然なものがたくさんあることでしょう。

「留学経験なし」「純国産」で英語を学習したという方も多くいらっしゃいます。私も英領香港で3年間企業会計を担当しただけでほぼ日本で英語を学習しました。これは残念なことです。英語を仕事で使うのでしたら、どこかで時間と資金とを確保して「漬かって」おくべきでした。

「留学しても必ずしも英語の力が伸びるとは限らない」
とか
「英語を身につけるよりも何を語るか、その内容が大切だ」
という主張をよく見かけますが、こうした声にはあまり意味がないと思います。

留学して勉強しない人なら日本にいたって勉強しない。それなら留学先で新しいものを見聞きするだけでも収穫がありそうです。英語よりも中身が大切だなんて(比較がおかしくて)ナンセンス。自動車の免許を取るより語るべき内容が大切だと言うのに近い気がします。英語の学習をやめても中身が充実しそうにありません。それなら技能として英語が使えるようになっておけば少しは便利というものでしょう。

そして、「純国産」で英語力を身につけたという方々は留学していればもっとずっと良いことがあったはずです。少なくとも私は自分の場合そう感じています。