50歳で始めた通訳訓練

会社員からフリーランス通訳者に転身。同時通訳ブースに入り、通訳学校の講師に。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2013-07-30 文句を言わずに

月に1回ずつ計5回の特設講習に申し込み、第1回に参加してきました。

教材・人員配置は非常に贅沢なしつらえで、進行もよどみがありません。他で少しのんびりしているクラスに参加していると目が覚める気がするかもしれませんね。

今回確認したこと:
訳出には「勢い」が必要である。

聞いた人に
「メッセージ、確かに受け取った。理解した」
と確信を持ってもらってこそ通訳者の任を果たしたことになります。

言うことを決めて、それを意味のかたまりごとによどみなく出す。声は一定の調子で明瞭なら十分。自然さを追いすぎて凝った言い回しにしなくてもよい。

こうするためには話者が言ったことを瞬時に自分の心に「描画」する必要があると講師が述べています。そして、訳出で口を開いたらとにかく文章として完結させる。


通常課程で参加している授業では講師2人の交代制です。そのうちの1人は原発言の字句に比較的注意を払った訳出を求めるな、と感じています(注)。そうするとノートも詳細になり、訳出も用心深くなりがちですね。

こうした逐語訳要素の入った練習をしているので、久しぶりに
「おおづかみで、一気に貫徹せよ」
と言われると、
「ちょっと待ってくださいよ。先生、同じ学校なのに言うことが違うじゃん(横浜人です)」
と一瞬思います。

しかし、頭を冷やして考えると、こういう「プチ被害者意識」には根拠が乏しいことに気づきます。私が現在できる最良の訳というものがあって、それを安定して提供する練習を続けて力を高めていくしかない。おおづかみして、勢いがあって、詳細まできちんとした訳が最善に決まっています。現在の時点で勢いを大切にするか、細かいところを大切にするかは自分で決めてしまえばいいんですね。いずれは両方をあるていどモノにしなければいけない。

注:もう1人の講師は「おおづかみ・勢い派」で、インタースクールとしては意図的に異なる授業スタイルを組み合わせているようです。