50歳で始めた通訳訓練

会社員からフリーランス通訳者に転身。同時通訳ブースに入り、通訳学校の講師に。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2013-07-11 決めて出す

同時通訳・逐次通訳付きのシンポジウムに出席しました。

簡易同時通訳(ブースなし)で、通訳者は聴衆席の最前部に座ります。その直後に座ることができました(動機が不純)。

3時間で2人体制です。今回の前に同じ内容で数回実施があったようで、訳は相当こなれていました。原稿も出ているようです。

現場ならではの発見がいろいろありますね。首都圏以外だと機会も少ないでしょうけど、通訳付きの会議等に足を運んでみることを強くお勧めしたくなります。


原稿あり・同内容で数回目という有利な状況でも、通訳者相互の力量の違いははっきりと現れるのですね。以下は英→日の逐次での話です。

通訳者Aさんはやや「せきこんだ」感じ、わずかにあわただしく訳出していきます。そして、ときどき言い直し(繰り返し)をします(誤って直すのではなく、念押しという感じで)。それでも十分に聞きやすく、プロの仕事としてすばらしいものでした。

通訳者Bさんに交代して驚きました。Bさんの訳出には「悠揚迫らぬ」という表現がぴったりです。落ち着いた声で流れるように話し、とてもゆっくりに聞こえます。それでいて無駄がないので長くなってしまうことがありません。自分の訳に絶対の自信がある感じですね。そして表現が少しも「翻訳臭く」ありません。ときには文の構成を適宜入れ替えています。そして、ちょっとした表現も日本人が日本語で自然に話すときのものになっています。

伝えることを瞬時に決めて、それを最高の状態で音声にする。

一流の仕事を聞くことができて良い経験になりました。これを冬山登山としたら、通訳学校の授業は雪解け水を飲んで「冷たい~」と言っているような感じもします。ま、何事も一足飛びにはいきませんから、今日できることにしっかり取り組むとしましょう。


予習は大切ですね。department は企業なら「部署」、官庁なら「部局」と訳出していました。また、副詞を2つ使う英語らしい表現ではあえて動詞を変えて訳す場面もありました。うまいなあと感心しました。

例:X acted decisively and sensitively.
X は断固として取り組み、細かい注意を払いました。