聞いたことの内容を理解できたという確信がないときに、それでも文章の構成を頼りに通訳して出力しなければならないのだろうか、という問いです(答えはもちろん Yes なのですが)。などと書いたのですが、翌日のインタースクールの授業で講師がまさしくこの点について話してくれました。
「それではリテンションの練習でもしてみましょうか」
講師が読み上げた文を受講者が再現します。ちょっと長くなるととたんに心許なくなります。
「英文をそのまま記憶に留める練習が必要です。通訳者には、内容を完全に理解するというぜいたくが許されない場合があるのです。そのときにはどうしても原文を解析して訳出しなければなりません」
「はかない英文を記憶に留めるのは、今皆さんが体験したように大変厳しく苦しいものです。これにはコツといったものがあるとは思えません。先輩通訳者は皆地道な練習をしています」