50歳で始めた通訳訓練

会社員からフリーランス通訳者に転身。同時通訳ブースに入り、通訳学校の講師に。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2013-05-27 CAIS講習会に参加しました

通訳技能向上センター(CAIS)の「実践中心! 逐次通訳研修【上級】」(2013年5月26日・東京のみ)に参加しました。

「上級」という看板にちょっと躊躇はしたのですが、他の選択肢が「基礎から始める! 逐次通訳研修【初級】」でしたので、えいやっと申し込みました。

場所は東銀座のサイマルアカデミーです。サイマルの事務室・教室からはインタースクールのざわつき感やISSの親しみやすさとはわずかに異なった一種の清潔感を感じました。なかなかいいですね。

午前2時間はノーベル賞受賞学者のフォーマルスピーチで英→日、午後2時間で著名エコノミストのフォーマルスピーチで日→英です。

特に午前の教材は内容の抽象度が高く、「フツーの人が思いつかないこと」を話すのでだいぶ苦労しました。

印象的だったのは受講者のみなさんの出力が聞きやすいことです。一定の速度・落ち着いた声で「人に聞かせる」意識が伝わってきます。ああ、こうでなくては、と思いました。不用意な「えー」もめったにありません。

インタースクールでは基礎訓練の段階でこの部分を標準的技能として教授することに重要性を感じていないようなのがやや残念です。


この日の最大の収穫は一つの疑問が出てきたことです。

聞いたことの内容を理解できたという確信がないときに、それでも文章の構成を頼りに通訳して出力しなければならないのだろうか、という問いです(答えはもちろん Yes なのですが)。

職業通訳者から以前こんな話を聞きました。
「会場で話の内容がわかっていないのは私(通訳者)だけだった。それでも会議は順調に進んだ」

どんな言語でも内容・意味は文脈に依存するので、この方策は薄氷の上を歩むようなものだと思います。しかし、そうした部分が出てくるのはやむを得ないのでしょうね。

私の年齢的なことも影響を与えていると思います。企業勤務が長く複数部署の経験があり、新聞に書いてあるような話はだいたい先が見通せるのですね。原発言を聞いたときに頭の中に「枠」がぱっと生まれて、聞き進むうちにその枠に「具材」が入っていく感じのときはものすごく楽なのです。

今回は「枠」がつかめず苦労しました。今後の練習では抽象度の高い材料もときどき使ってみようと思います。