50歳で始めた通訳訓練

会社員からフリーランス通訳者に転身。同時通訳ブースに入り、通訳学校の講師に。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2013-04-18 聞く難しさ

インタースクールの期末評価とアイ・エス・エス・インスティテュートのレベルチェックとで英日よりも日英のほうに良い評価をいただきました。

都合良く考えると、次のことが役立っているのかもしれません。
・トーストマスター活動で英語を話すのに慣れている
・中国語発音の練習課程で明瞭な音を出す必要性を再確認した
The Economist の購読や TED、BBC の視聴が表現の助けになっている

しかし、実のところは、こういうことなのでしょう。
・英語を聞くよりも日本語を聞くほうが理解が楽
・日本人の言いそうなことに親しんでいる(多くの場合話者は私と同じおっさんですし)


この数日間、「通訳品質で」英語を聞くことの難しさを改めて感じています。聞いて理解したつもりになっても、その印象は淡い淡い霞(かすみ)であるかのようです。その霞をそーっとつかまえていく難しさといったら…。

あるいは黒い紙に鉛筆で書いたものを目を細めて読む難しさとでもいいましょうか。

サイマルアカデミー講師の寳閣綾子(ほうかくあやこ)さんが「講師ブログ」に次のように書いていらっしゃいますが、それがだんだんわかってきた気がします。
まるで昆虫が触覚をピンと張り巡らすかのように全神経を集中させ耳から飛び込んでくる内容を頭に留めようと必死に努力する。
苦しみの中で演習を繰り返すうち、まるで頭の中に溝を掘って記憶の回路を作る作業のようだと感じるようになった。掘った溝に水のように情報を流しこみ、脳裏に刻みつける。
くっきりと頭に残るのは恵まれた条件のときだけなのでしょう(なじみのある分野・話す速度が遅い)。多くの場合は薄い氷の上を歩くような、苔で滑る石を踏んで川を渡るような思いをして聞いていくのだと思います。

前の学期の講師はこうおっしゃいました。
「リプロダクションをしてください。話がわかっているならできるはずです。英語で再現できなければ訳せるはずがありません」

新学期の講師は初回でこうおっしゃいました。
「聞いている最中にポンと肩を叩かれたら、(集中が途切れて)それでおしまい」
「それほど集中して聞くのです」
「いわゆる英会話では、相手の話の内容が5~7割わかれば話は happy に続いていきます。通訳はそれではダメ。100% を聞き取るのです」

神経を研ぎ澄まして聞き、真綿でくるむようにメッセージをとらえる練習をしていきます。今まで少し甘く見ていました。