50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2013-01-26 読む速度(情報を取り込む速度)

以前の勤務先では東南アジアの拠点責任者を集めて(東京だったり香港だったり)会議を開いていました。

シンガポールやフィリピンからの参加者が英文資料を読む速さが私よりずっと速いことに気づきます。

日本人は読み書きはまあまあだけど聞けないし話せないというのはおそらく(一般的には)ウソです。読み書きは聞く・話すよりもっとダメダメなことが多いです。


どこかのブログで読んだことで私が体験したことではないのですが、英米系の企業ではもっとすごいことになっているらしいです。TOEIC のリーディング部分を制限時間内に2回分(通常テストの2倍の量)回答できる日本人でも資料を読む速度では参加者中最下位だとか…(まあ、周囲の英米人も読むのが速い人たちなのでしょうけど)。

ブログ友達の配偶者が米国人なのですが、観察したところ、単語を左から右に追わず1行くらいを一度に目に入れて読んでいるようだとのこと。

ああ、これ、わかる気がします。私も夢中になって文庫(日本語)を読んでいるときなど、似た感覚で読んでいるはずです。さもなければ夕食後に読み始めて寝る前に1冊読んでしまうなんてできません。

文を理解するのがたやすければ目から一度にたくさん情報が入ってきても処理できるのでしょうね。私が The Economist を読むときなど、実にゆっくりです。「アエラ」なり「週刊朝日」を読む速度の半分以下でしょうね。それだけ情報処理が遅いのです。そして、これが通訳パフォーマンスの貧しさに直結しているのは間違いありません。

それでも The Economist を毎号ほとんどの記事を読むようにしたら少しは「目のスパン」が長くなっているような気(「当社比」ね)がします。特にビジネスアウトソーシングの記事でそう感じました。もう少しこの感覚を追いかけてみます。


在日中国人の中には短期間で実に見事な日本語を使うようになった方が多くいらっしゃいます。どうやって勉強したのかと聞くと、
多聴,多説,多読,多写
(たくさん聞き、話し、読み、書く)
という答えが返ってきます。

日本人の英語学習では実施(execute)の部分が弱いのかもしれません。学習関連情報が多いこともひょっとして害になってしまっているのかもしれません。