通訳者は言語を変換するだけではなく、音声を顧客の耳に届けて任務完了となると教わりました。ですから、練習するときには第三者の耳を意識するようにしています。
通訳学校の授業で仲間の訳を聞いて「惜しいな」と思ったことが何度かありました。声が「売り物モード」になっていないようなんです。聞き手に届けようという練習になじみがないのかもしれません。教師という大切な聞き手がじっと耳を傾けてくれているのですが…。
通訳では油断すると体の姿勢にも問題が出ますね。メモを見つめて顔が下を向いてしまう。訳出に悩んで手で自分の顔や頭に触れてしまう。おやおや、片ひじを机についている人も…。
姿勢や声は外国語運用能力や言語変換能力と違って、練習するとすぐに効果が出るので「おトク」な分野だと思います(それまで放置しておいたならなおさら)。
自信がない訳でも堂々と「売り物モード」の声で出すように練習しています。いずれは必要になる(といいな)。
通訳訓練では自分の姿をビデオ撮影してみると収穫は想像よりずっとずっと大きいことと思います。