50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2018-08-13 備え(2)

企業業績が悪化して通訳業務の発生が少なくなる可能性を前回書きました。

それでは、事業主としての通訳者はどうしましょうか。

企業の幹部会議で通訳をすると競争の激化や自社技術の陳腐化、市場の変化についての話をたっぷり聞くことになります。それにしては通訳者は自分の業務について考えないものですね。景気の下降だけではなく、他にもリスクはありますので、それも考えないと。


リスクとしては…

  1. 自分ではなく他の通訳者が選ばれていく。
  2. 大口顧客を失う。
  3. 市場が縮小する。

1.に対処するには自らの機能強化(技能向上、準備の効率化、立ち居振る舞いの研究・改善)。経常的な努力と柔軟な考え方との組み合わせで続けていこうと思います。

2.このリスクに関して世の中の通訳者は意外と呑気かもしれません。隆盛を誇る企業も意外なところでつまずく可能性があります。通訳・翻訳エージェンシーには創業者の経営判断・営業力に頼っているところがかなり多い(まあ、たいていの企業がそうですが)。内紛や重要人物の健康不安があれば業績は簡単に急降下します。以前にも書きましたが、通訳者が特定の客先の業務で失敗して「干される」こともあり得ます。

日頃から特定客先に過度に依存しないようにするか、何かあったときに他社へ移行するための時間・生活費を用意しておく必要がありますね。

3.の対処は市場開拓ですね。不況でも影響を受けにくい分野や、不況になると増加する業務はないか。日常忙しくしていると手が付かない部分です。多くの通訳者は考えてはみるが実際に何かしている人はごく少ないはず。私がこれから真剣に考えてみたいのはこの部分。専門知識等が必要な分野なら「受験勉強」のように基礎力を日常から積み上げることも必要かもしれません。フリーランス通訳者の「R&D」です。コストセンターです。なまけ心が生じるといつまでも先送りになります。それだけに競争優位の鍵になる可能性があります。


神奈川県海老名市のスリランカ料理店「ロイヤルグリーン」の 8/12 限定特別料理。

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・魚のスパイス煮
・レンズ豆のカレー
・ポロス(ジャックフルーツ)カレー
・いんげんのカレー
・かぼちゃとココナツミルクのカレー
・なすの揚げ物
・ゴトゥコラ(ツボクサ)サンボル
・ポルサンボル(モルジブフィッシュ粉とココナツ粉等のおかず)
・ゴーヤのサラダ
・パパダム(豆粉のせんべい)
長粒米

スリランカのゼリーとミルクティが付いて破格の 1,500円。満席でした。

2018-08-10 備え(1)

東京では現在ちょっとした通訳バブルが起きていると見ていいでしょう。
「だれでもいいから連れてきて」
という悲鳴に近い声を聞くときもあります。(

エージェントからは業務の照会が相次ぎ、直接契約の顧客からも経常的に依頼がある。

厚生労働省のマイキンこと毎月勤労統計によれば賃金は名目だけではなく実質でも伸びています。法人税収入も 2017年度では増加しています。企業の利益が増加し、それにつれて給与支給も増えたと見るべきでしょう(産業により大きく異なりますが)。通訳の発注も多くなるし単価の上昇にも寛容な可能性があります。


こんなときが危ないのかもしれません。

上ったものは下る。


特に格段の努力をしていない通訳者にもプチバブルの恩恵が及んでいます。これが当然だと思っていると危ない。オリンピック特需が終わり、そこに不況が来るようだと通訳需要は大きく減少するでしょう。2008年の金融危機のときに通訳・翻訳の需要が一気に冷え込んだのですが、フリーランス業界では「先輩からの言い伝え」が企業内ほどには機能していません。通訳エージェントの営業・コーディネーターも入れ替わりが多い職種で、仕事量が増えていく経験しかしていない。


企業業績が悪化するとどうなるか。多くの企業は(とりあえず)経費削減に走ります。最初に切るのが経費の3K、「交通費・交際費・広告宣伝費」です。出張回数を減らし、接待は自粛し、各種スポンサーも縮小へ。

そして通訳・翻訳費用も間違いなく対象になります。

「アジア太平洋会議はビデオ開催に変更」
「もういいよ。資料は英語のままでいこう」
「来月から会議は通訳なしだから。わからなかったら後で議事録読んで」

各部門に「経費削減計画」を作成するよう命令されますから、研究開発や製造、販売といった現在・将来の収益に直接結びつく部門以外(と考えられる)の費用がまず対象になります。


こうした仕事量の減少はエージェント経由だろうが直接受注だろうが関係ありません。エージェント経由に頼っていると危ないと説く自営業者もいますが、問題は通訳業務の発注、すなわち通訳の発生があるかどうかであり、受注の経路ではないのです。


「だれでもいいから」
は正確には
「ちゃんと仕事ができて常識的にふるまう通訳者ならだれでもいいから」
であることは当然ですが…。

2018-08-09 修繕

何年も前から気になっていた智歯(親知らず)。以前に3本は抜いていました。残りの1本は横倒しで半分歯肉に埋伏という抜歯がやっかいな状態だったので様子見でした。

口腔の一番奥で奥から前に向かって生えているので歯ブラシが届きづらい。虫歯になってからでは抜歯の時間に猶予がなくなります。

今年の8月に仕事の予定がない「クリーンな」1週間が存在することに気づき、歯科医に予約をしました。自営業者が言う「無給休暇、絶賛取得中」です。


X線で見ると抜歯にさほど手間取らないようだ、と医師が説明します。
・隣の歯を押していない
・歯根が太っていない
・下あごの神経から遠い

「今回は(虫歯の治療よりも)多めに麻酔薬を打ちます」
キシロカイン 2.0% 1.6mL カートリッジを3本使います」


抜歯はあっけないほど短時間で終わりました。歯肉を切開し、横倒しになっている歯の中央部を「だるま落とし」のようにカッターで削ります。歯の冠部を取って短くなった歯は簡単に引き抜くことができたようです。

持針器で3針縫って終わり。抗生物質「ケフレックス」(セファレキシン)と鎮痛剤「ロキソニン」(ロキソプロフェン)の処方がありました。

抜歯当日だけ痛みが出たのでロキソニンを飲んだら効くこと効くこと。いや、薬ってすごいなと思いました。


長年放っておいたことを片付けると気分的にもいいですね。


治療前に食べたダルバート(ネパール定食)。大森の「ハンディー」(以前にタカリバンチャがあった場所)。新店でもダルバートはとてもおいしいですね。ただし線路の反対側の「サーランギー」より少し高い。
ハンディー ダルバート 1,250円、ラッシー 350円
サーランギー ダルバート 1,000円(飲み物付き)

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右下のゴルベラコアツァール(トマトと岩塩のペースト)がすごくおいしい。

2018-08-08 まだ何かあるはずだ

通訳学校での恩師と姉弟子と私の3人で経常的に同時通訳を実施する幸運に恵まれています。

お客さんのビルで待ち合わせて、ときには他愛もない、ときには少し深刻な話をして現場に入っていく。

丸1日の業務だと同席通訳者の訳を聞く精神的余裕もあまりないのですが、それでも時々
「私だとそれは出なかったな」
という効果的な表現や自然な語句が耳に入ってきます。

私の訳にはまだまだ改善の余地がある。通訳をして向上することもあるでしょうし、何か別の準備・訓練で伸ばす点もあることでしょう。休むことなく考えて、仮説を立てて、実施してみて、また考える。こうした動きを止めると通訳者の人生は敗北に向かうのだろうと思っています。


新幹線で東京駅に到着。八重洲地下街の「エリックサウス」。カウンターが暗くておいしそうに撮影できませんでした。多くの人に南インドの定食「ミールス」を知らせた記念すべき店舗です。

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2018-08-07 日本通訳フォーラム2018

日本会議通訳者協会が主催する

日本通訳フォーラム2018

残席数がわずかのようです。昨年も一昨年も売り切れて
「なんとか席を確保できないか」
という連絡をずいぶんと受けました。

参加する方は切符があるうちにどうぞ。

今回はスポンサーとして日産自動車に力添えをいただきました。外国人社長が率いた企業ですから、通訳者の存在も意識されてきたのではないでしょうか。

また、特別協賛として TMJ Japan に多大なる支援をいただいています。

株式会社アルクイカロス出版株式会社とには 2015 年の初回からいろいろと助けてもらってきました。


通訳者が手作りで実行し、そこに他の通訳者や関係者が集まってくる。すばらしい祭典になることでしょう。今回は初の3トラック並行実施。セッションの一覧を見ているとよくもまあこれだけ実のある講演が集まったものだと感無量です。

私も日本会議通訳者協会の理事として、またフォーラム運営のボランティアとして精いっぱい努めます。皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。

2018-08-05 写真的記憶力

今まで出会った通訳者の中で強烈な印象を残した方が2人ほど。

いわゆる photographic memory を発揮する人たち。話者が話した内容をさしたるノートも取らずに微細にわたって通訳で再現できる。ちょうど記事を写真に撮るかのような能力です。

原文の理解も素早いのは間違いありませんが、記憶の確かさに驚きます。全体の構成・細部の情報を共にきれいに再現していくのを聞くと鳥肌が立つような感じがします。勢いに乗って数分も続いた発言を見事に通訳し、聞いていた人たちから思わず拍手が出たことがありました。聞いているこちらとしては通訳者の看板を下ろして帰ろうか、と思いたくなる一瞬です。

「いや、これにはかなわない」と思っても、客から私に通訳業務の発注があるのも事実。自分の力でどうしようもないことはそっと心から遠ざけて、できることをしっかりと提供するまでです。


神奈川県綾瀬市スリランカ料理店「ロイヤルグリーン」の 900円定食。全体に調和のとれたみごとな出来。米も長粒種で料理に良く合います。

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