50歳で始めた通訳訓練

通訳者のブログ。会社員からフリーランス通訳者に転身。以下のユーザー名をクリックするとプロフィール表示に進みます。

2018-06-08 複数エージェント登録

急に現場に出られなくなった通訳者・休暇を取る通訳者の代わりに仕事に入る形で新しい通訳エージェントに登録してきました。

そうしてわかったことがいくつかあります。

  • エージェントの成り立ち(歴史)によって客筋が違う。大手通訳エージェントには会議通訳の発注が集まる。いっぽう、例えば翻訳が中心のエージェントの顧客が「翻訳のついでに通訳もお願い」と依頼してくる通訳業務は一味違ったものが多い。同様に労働者派遣が主な会社が扱う通訳業務にも特色がある。
  • 小規模なエージェントだと経験がさほど長くない通訳者にも比較的大きな(格が高いとされる)仕事が回ってくる確率が高くなる。「寧ろ鶏口と為るとも、牛後と為ること無かれ」と考えるなら一考の余地がある。発注側は調達の透明性のために見積もりを複数社から取るので、小規模なエージェントにも大きな業務の見積もり依頼をすることも多いようだ。


それと、私の考えとしてはリスクの分散は必要かと思います。ナショナルフラッグキャリアを誇りにしていた日本航空は経営破綻しました。日本の産業を支えるのは自分たちだという強烈な自負を持った日本興業銀行はその名を残していません。名門と呼ばれた東芝やシャープの苦境は記憶に新しい。

多く仕事を受けているエージェントから何らかの事情で仕事が来なくなることも考えておくべきだろうというのが企業勤務からフリーランスに転進した私の考えです。エージェントが業務の方針を急に変えることもあるかもしれないし、通訳者が大失敗をしてエージェントから切られることもあるかもしれません。


またしても「らしくないもの」も食べちゃいました。チェーン店そば屋のカレーそばに引き続きチェーン店のカレーライス。どちらもなかなか良いじゃあないですか。

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2018-06-06 果報者

いままで600以上の通訳現場に出てきましたが、すべて「ぜひまたこの現場を担当したい」と思うものばかりです。難しかったり冷や汗をかいたり、苦い思い(主に反省点から)をすることはあります。しかし
「もうこの現場はいやだな」
と感じたことはありません。

お客さんにも現場で共に働く通訳者にも例外なく本当に良くしてもらっています。通訳者につらく当たる顧客や共に仕事をしづらい通訳者がいるという話を聞くときがありますが、どこか別の世界の話だろうと思えてしまいます。


いつもすばらしい顧客や仲間に囲まれているうえに、通訳者にはまだまだ大特典があります。それは…

宿題がない
会議が終われば通訳者の仕事は終わり。会議に参加した当事者のみなさんは売上目標やら開発スケジュールやらで本当にたいへんだなと思います。
原則として受け身
レストランがおいしくなくても催し物がつまらなくても予定に遅れそうでも一切の責任がない。淡々と仕事をすればいい。
評価育成がない
部下の評価や育成の義務がない。人の人生を左右しかねないあの重圧から解放されて寿命が延びたと思う。


おそらく20年ぶりくらいのカレーそば。冷房で冷えた体がほっとしました。

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2018-06-05 質も量も

2018年06月の業務予定が6月01日の時点でほぼすべて埋まりました。

こうしたことは初めてです。今までは月が始まってからその月の仕事の照会が来ることも多かったのです。

今年は数か月先の予定もほどよく入って月別の棒グラフがなかなか良い形です。

青の棒が金額、赤の線が件数を示します。このグラフは 6月01日時点のもの。
3月・4月は棒と線とが近い = 単価が高いことがわかります。6月は報酬の絶対額は多いのですが、件数も多く、単価が低いことがわかります。8月の立ち上がりが弱く、10月からの会議シーズンの引き合いもあまりないことがわかります。つまりまだ市場では「新参者」で、照会の優先順位が高くないのでしょうね。

証券会社のカンファレンス予約などが入らない代わりに、通訳者が「売り切れてしまった」秋に「裏番組」と呼ばれる他の仕事が回ってくることが多いので楽しみにしています。

2018年6月は量・質共に転換点となる月でした。

  • 直接契約の再発注があり、元請けとして他の通訳者を動員した。
  • H.E. で呼ぶ人物の公開講演の同時通訳を実施。
  • 初のエージェントの仲介で初の業界で同時通訳を実施。報酬日額最高額更新。
  • 1日3件を初めて経験。
  • 1日に照会を受け予約できた業務件数の新記録(7件)。

 

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2018-06-04 通訳業務記録ファイル

年度末に翌年の事業計画を立てます。年間売り上げと経験したい通訳業務を簡単に書き出す程度です。2017年は無事に達成しました。

2018年の売り上げ目標は
仕事に出たい日数 × 年度内で実現したい単価
で計算しました。前年比 30% 増というやや強気の数字です。

いざ新年度が始まるといろいろと予想外のことが起こります。キャンセルが出て売り上げの伸びない月もありましたし、単価の高い仕事が取れるようにもなりました。


2012年に仕事を始めたばかりなので、全体としては成長していく段階だと考えています。まだ安定操業というには遠いです。それでも今年前半(1~6月)の数字は年間目標の約半分で、年間で前年比 30% 増は十分に見えてきました。

量だけではなく、質の面でも目標を立てますが、こちらも一つまた一つと実現していきます。手帳に書き留めておくと何か潜在的に日常の行動に変化があるのかもしれませんし、単なる偶然かもしれません。


通訳業務は引き合い(照会)の時点でエクセル表に書き加えます。項目は:

  • 照会日
  • 実施日
  • 客先
  • 仲介者(エージェント名)
  • 内容
  • 日数
  • 形態(同時/逐次)
  • 分野
  • 通訳報酬(報酬日額・延長料金)
  • 各種手当額(移動拘束・宿泊等)
  • 交通費等実費
  • 源泉徴収
  • 入金予定額
  • 入金日

引き合いの後に取り下げや失注になったものは金額を抹消して行をグレーアウトします。ですからエージェントごとの受注確度が簡単にわかります。

報酬の入金があった場合にはこの表と照合します。延長料金の見解の相違などがあればすぐにわかります。

この項目のうち通訳報酬と日数とをピボット集計してグラフ化しています。照会があった時点で数字を入れていくので、会計帳簿と違って実施前の業務も即時に反映されて便利です。

年度が終わるとこの数値と会計帳簿とを突き合わせて売り上げや源泉徴収税額の確認ができます。

さらに通訳業務実績表はこの表からコピーして制作するので手間がかかりません。

相模川の新・旧小倉橋。バングラデシュ料理の「ライサ」に行って少し遠回り。

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2018-06-03 通訳学校で教えてもらっていないこと--日本語始点の通訳

こんな場面を想像してください。

多国籍訪日団が施設を視察します。日英・日中・日露と通訳者は3名。簡易機器(パナガイド)で送信します。

さて、視察が終わって質疑応答の場面。中国からの訪問者が質問し、日中通訳者が逐次で質問の日本語訳をします。日英・日露の通訳者はその訳をパナガイドで送信。回答は日本語なので3人の通訳者が訳します。

次に米国からの訪問者が質問。逐次訳を入れる間もなく施設側担当者が英語で答え始めました。こうなると日中・日露の通訳者はどうしようもありません。置いていかれます。

ここで通訳者は回答者に対して
「本日は日中・日露の通訳も入っていますので日本語でお答えください」
と伝えなければなりません。そして質問も逐次訳します。誰かがなんとかしてくれるだろう、ではなく、通訳者チーム(つまり「あなた」)がすぐに対応する必要があります。


自宅から 250km 運転して現場に行ったら番猫がいました。訪問先からすばらしいトマトのおみやげをいただきました。直接契約の再発注はうれしいですね。今回は協力通訳者にも入ってもらって初の「元請負人」経験です。

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2018-05-29 日本通訳フォーラム2018

今年の日本通訳フォーラムは3トラック並行開催というすごいことになってます。

理事や運営委員は大車輪の活躍で鋭意準備中。

過去3回すべてチケットが売り切れていますので、参加したい方は早めに申し込んだほうがよさそうです(最近通訳現場でパートナーからよく問い合わせをいただいています)。

日本会議通訳者協会

(イベント・ニュース のメニューからどうぞ)

 


品川・六本木・銀座8丁目・上野・豊田市などで店舗を展開している「ケバブビリヤニ」グループ。ニハリ(羊の骨付き肉煮込み)には家庭で焼けるチャパティではなくて外食の華ナンだという話を聞いたので試してみました。おいしい

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これだけ固形スパイスが入っています。月桂樹の葉・カシア(インド産シナモン)・レモン・スターアニス・黒カルダモン・カルダモン・クローブなどなど。骨もごろごろ。

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2018-05-28 いろいろな仕事--身体的要求度の高いもの

通訳者の仕事場にはいろいろあります。どのような仕事を中心にしているかでも大きく違います。企業のIR担当者と共に世界を回るのが中心の人もいますし(年間のホテル泊が簡単に 150 を超える)、港区・千代田区中央区オフィスビルの中だけで仕事をしている人もいます。

私は自分が職業通訳者として専門を決めていく段階には至っていないと考えています。まだ知らないことが多くあります。長い間企業で勤務したので、フリーランス通訳者としてこれまで知らなかったいろいろな体験をしたいという思いも強いのです。


通訳技能ではまだまだかもしれませんが、「使いやすい通訳者」「安心できる通訳者」であるように努めています。具体的には

  • エージェントへの問い合わせは最小限。4年間で単純な「資料まだですか」は1度も尋ねていません。
  • メールの返信はできるだけ早く(しかし業務に影響しない範囲で)。
  • 客先の指示に従うが、必要なら積極的に関与。
  • チームでの成功をめざす。
  • 顧客の目的達成を全力で支援する。通訳者の成功はそれに付随するもの。
  • 通訳エージェントには現場の特徴を簡単に伝える。


肉体的に要求度が高い業務はけっこう好きです。大きなプラントの視察などでは地下から高所まで5~8階分ほどの高低差を歩き、1日の歩行距離が数キロになるときもあります。軽々と歩くので感心されたことがありました。暑さ寒さにも比較的強いほうだと思います。真夏に3重の手袋を着用して安全靴という現場もありましたし、零下30度の冷凍庫にも入りました。


肉料理を食べたので、野菜も。

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ムングダル(ひきわり緑豆)はトーストによく合います。

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